WEBオープンハウス
石尾の家
OUTSIDE
道路から見た石尾の家。既存の建物に遮られたのもあって建物全景が写りこんだ写真を撮影できませんでしたが、この建物の大きなコンセプトが盛り込まれた構図の一枚です。道路から約2mほど上がった高さにある敷地に石尾の家は建てられました。二世帯住宅として建て替えたプロジェクトです。農業をされているので倉庫も併せて計画しています。黒い3枚引き込み戸をあけるとそのスペースとなります。ここでも僕のポリシーである深い軒をかけるといった課題を実践しています。日本の気候風土を考えると必要不可欠なのが深い軒だと考えています。
クローズアップで撮影した石尾の家の姿です。一部でしたが外壁には対候性にすぐれたタイルを採用しました。INAXの二丁掛けタイルです。建物正面になるので窓のデザインにも細心の注意を払っています。家の顔というものに建築家は人一倍気を配ります。それはいうまでもなく美しさというものにこだわるからです。デザインされることは非常に大事なことで、例えコーヒーカップを一つ買うにしてもやはり形のいいものを我々は普段から買っているはずです。だから建築もデザインに気を配らなくてはならないのです。
大きな格子戸を設けた面の写真です。この格子戸の向こうには大きな窓が取り付けられていますが、雨戸と意匠を兼ねた戸として採用しています。材種は対候性を考えてヒバとしました。色合いが周囲の外壁材とバランスよくマッチしています。格子がはめ込まれた棟の右側の奥まった場所に子世帯の玄関があります。ガラスをパネル風にデザインしたトステムの玄関ドアを採用しました。
親世帯の玄関廻りを写した写真です。通常のステップ式になったポーチの脇にスロープを設けています。老後、もしそのような必要性に直面した場合でも対応可能なようにと初期の段階から盛り込みました。備えあれば憂いなしという言葉を実践しました。
建物の形状は大きく言ってL型となっています。その内側から2階方向を見た構図です。深い軒となっている部分はベランダにあたります。洗濯物を干すのも良し、陽射しを遮るのも良しといったところです。深い軒があるということは色んな可能性を生みます。
INSIDE
親世帯側の玄関からホールを見たショットです。真正面に大きな開口部を設けていますが、これがあるので空間に奥行きが生まれます。ある程度の面積を確保できたホール廻りですが、ちょっとしたことで奥行き感がなくなったり生まれたりするものです。お客様を招きいれる玄関は出来る限りこだわって作りたいものです。
ホールから玄関土間の方をみたショットです。手前左手に見えるのは飾り棚ですが、ナラという木を使って仕上ています。生け花やちょっとした小物を置いたり、お客様をもてなす意味での飾り物や空間の引き立て役を備え付ける場所として計画しました。ここに何を置いてどう見せようかなど、そう考えるのも実は楽しい時間かもしれません。
玄関ホールからリビングや小世帯の玄関につながる廊下を見たショットです。飾り棚の後ろの壁に杉の縦格子を蜜に配置しています。色合いも黒を基調としているので、引き締まった感じがあり特別な場所といった印象を受けます。杉の木目には濃淡が浮き出ていますが、塗装を施したからこそ見えてくる美しさというものを感じることが出来ます。廊下の右手には巾のある4枚引違のガラス戸をはめ込んでいますが、お子様が野球やその他のことで活躍し頂いた賞状やトロフィーを収めるためのディスプレイスペースとして計画しています。また下部はフラッシュの引違戸とし、通常の収納スペースとして利用できるようにしました。
親世帯玄関ホールの左手にある和室のショットです。客間ということもあり白木のままで仕上ています。壁は珪藻土を塗りました。障子から柔らかい光がこぼれていますが、その向こうには縁側も設けています。最近の住宅ではなかなか見かけなくなりましたが、縁側に座って雑談をしたりと、良き風情の残る住宅です。
親世帯の玄関ホールにある飾り棚の詳細です。直径が60mmのナラの支柱を取り付けましたが、床柱のようなイメージを印象づけるための部材として使っています。杉の格子が整然と並んでいるのもなかなかいい雰囲気となりました。
親世帯のLDK空間の全景です。実質上のリビングとなる床には縁なし畳を敷き詰めていますが、6帖大となっています。この空間の最大の見せ場はやはり天井の仕上げ方法で、黒く塗った杉板とそれ以外の白い天井仕上げとの対比が絶妙のコンビネーションを生んでいます。設計当初からコンピューターグラフィクでその様子を提案させていただきましたが、「見た瞬間から気に入りました」というのが、お客様の声でした。
ダイニング側から見たリビングの全景です。照明計画もダウンライトを中心に行っていますが、これもいつものように大光電機さんとのコラボで計画しました。過不足のない効果的な照明計画となっています。
ダイニング側からリビングを少し斜めに見た構図です。畳の間の左側にテレビボードを兼ねた大型の造付収納を設置しましたが、天井の色合いとのバランスでこれも黒に近い面材で仕上ています。1階の親世帯に関する仕上げのテーマカラーとしてそういう色を設定しましたが、これを基準に全体のコーディネイトを行っています。
ダイニングキッチン廻りの詳細です。キッチンは対面式とし、その周りを囲う腰壁に杉板を張って仕上ています。ここも濃色仕上げとしました。テーブルを置いたときに活躍する小物用の収納棚や側面には新聞や雑誌をストックできる収納スペースを取り込んでいます。ちょっとした配慮で物が片付きます。また左側に見える横長窓が2段挿入された壁に、等間隔で収納棚を設けました。これもその後何かと役立っているようです。見せる収納としてこのようなスペースも必要ではということで提案させていただきました。
リビング天井の詳細です。杉板と白い天井材との見切りを底目地で処理しました。腕のいい大工さんだったのできれいに仕上がっています。ダウンライトも小ぶりのものを利用しています。普段よく見かける丸形のものではなく角形にしていました。きりっとした印象が伝わってくる器具デザインです。
キッチン廻りの詳細です。トステムのクレディアを採用しました。この階のテーマカラーとなった濃色にあわせてパネル類の選択を行っています。実はこのプロジェクトもトステムの設計コンテストで入賞しました。キッチン部門の佳作ということで賞状を頂いています。大変ありがたいことです。
キッチンの背面にある収納キャビネットの詳細です。W寸法はトータルで1800mmとしましたが、フルスライドの食器棚を採用しました。引き戸というのは大変使い勝手がいいですね。
親世帯リビング横にある寝室です。畳の間となっています。天井には昔の力天井をイメージした化粧ネダを配置しています。真正面に見える4枚引違の襖障子がダウンライトで照らされて浮かびあがっています。勿論意識的にそういった照明計画を行いました。
親世帯リビング横にある寝室を少し斜めに見た構図です。床は畳の部分と板間の部分とに分かれていますが、ちょっとした縁側のつもりで計画しています。掃き出し窓からは裏山の雑木林の緑が飛び込んできます。気持ちの落ち着く空間に仕上がりました。
子世帯のある2へ通じる階段の詳細です。来客時、必ず通る場所なのでデザインにはこだわっています。まず黒く塗られた杉板の一枚壁を設けました。そして階段の壁には列柱を配置しています。格子のイメージをここでも活用しました。手間は確かにかかりますが、それをしてまでもデザインしないといけない場所なので、こだわりました。遊びにこられたお客様も「いい感じに仕上がってるねェ」とのことらしいです。
階段室を下から見上げたショットです。前述させていただいたイメージが確認できると思います。照明器具は天井からぶらさげるタイプのものを採用しています。勿論電球の交換も容易に出来るように配慮しました。窓から落ちる光もさわやかです。
2階のホールから階段を見下ろしたショットです。窓から遠くの山が小さく見えています。室内にいても緑を感じられるってやっぱりいいですね。
子世帯のLDKにあるキッチン廻りの全景です。親世帯の天井は黒く塗った杉板張りとしましたが、子世帯ではそれを一新して木そのままの色で仕上ています。ナチュラルな感じが伝わってきて、明るい雰囲気です。そこに住む方、そして利用する方の思考に合わせて適材適所デザインや風合いを変化させていきます。同じ家でありながら一つの素材でそれぞれに違った表情を確認することが出来ました。
左側に見える壁面にテレビなどを配置する計画となっています。また子供室へはリビングを通じて直接入るようにしていますが、写真の奥側に見えているのがその入口ドアです。2階に関しては面積を最小限に抑えるための工夫として個室へのアプローチは全てリビングからとしています。家族の気配が常に感じ取れる配慮からにもなっています。
キッチンの詳細です。子世帯のキッチンはフルフラットタイプのものを採用しました。色は1階のものと違って真っ白なキッチンにしました。清潔感があっていいですね。キッチンでの作業用の照明はペンダントタイプのものを採用しました。なかなかおしゃれな感じで気にいっています。水栓はハンドシャワー式、オ-ル電化なので勿論コンロはIHヒーター、食器洗浄乾燥機も揃えています。
キッチンに立ってリビング側を見た構図です。ベランダに通じる掃き出し窓からはやはり緑が確認出来ます。ベランダにはかなり深い軒がかかっているので少々の雨降りでも全然問題なく窓を開けられるようになっています。
リビングの隣にある寝室の全景です。ここからもベランダに出ることが出来ます。6帖大としました。壁にはブラケット、天井にはダウンライトと寝室という部屋の特性を考えた照明計画にしました。
寝室に設けられた2連のスリット窓の詳細です。建物の背面が小高い雑木林になっていますが、その緑がこの窓からも確認できます。落ち着く瞬間ですね。またブラケット照明の光が壁に反射して作り出す模様も壁のデザインの一部になっています。
子供室の全景です。将来2室に間仕切れるような部屋の構成にしました。窓もその時に応じて確実に配分できるようにと設計しています。
1階の客室となっている和室の縁側に置かれた行灯(あんどん)形照明です。この器具で縁側全体をくまなく照らすということは出来ませんが、それよりも大事なのは和の家に必要な陰影感なので、それを演出するためにあえて選択しました。また寝室などの枕元灯として利用するのも一つのパターンかと思います。
寝室に用いたブラケット照明の詳細。煌々と部屋を照らすのではなくて、必要な場所を必要な明るさで照らすことが照明計画の基本です。くつろぎたいときに昼間のように明るい部屋ではかえって疲れることになってしまいます。
子世帯の洗面所の全景です。洗面台はカウンターを造付としそれにボールをはめ込んでいます。鏡は壁に埋込みました。ハブラシやコップなどを置くための棚も忘れず造り付けています。小さなことにでも配慮は怠りません。
1階親世帯の浴室の全景です。ユニットバスを採用していますが、トステムのプレシオというシリーズです。鏡が横に長いタイプは実用面でも役立ちますが、それ以上に部屋に広がり感を与えます。好んで採用していることの多いパターンです。
1階のダイニングスペースの背面にあるデザインされた壁の詳細です。杉板の木目が浮き出て美しい仕上がりとなっています。棚に関しては生地の色を採用しました。壁との対比を楽しむためです。
1階親世帯の玄関ホールにある杉の格子壁の見上げのショットです。壁際の天井をカーテンボックスのように落ち込ませて、そこにダウンライトをはめ込んでいます。格子壁に光をまわすための仕掛けです。
いかがでしたか?WEB版OPEN HOUSEは。
実際に建物を見学するほうがより理解を深められるのですが、既に住まわれているお家ばかりなので、あえてこの方式とさせていただきました。でも、お時間をいただければクライアントの方にご見学をお願いすることも全く不可能ではありません。
また外観だけならばいつでもご案内させていただきます。
百聞は一見にしかず。実物をみて何かを感じ取ってもらえれば、それが一番いいことかもしれませんね。