Re.寿食堂
コンセプト
- リノベーション・・・時代の要請がますます高まりつつある建築スタイル御坊市塩屋町の国道42 号線沿いで何十年もの間、たくさんのお客様に親しまれ愛され続けた寿食堂。そのリノベーションの大役を私たちが今回担いました。コンセプトは千客万来《多くのお客様が絶え間なく訪れること》・・・お店にとって一番大事なことをとことん考え抜き、デザインし、作りあげています。昭和の空気をふと感じさせる懐かしさや飾りっ気のないしつらえなど、このお店と出会ったからこその創意工夫を随所にちりばめました。
コメント
- 店舗改修の基本コンセプトは千客万来!それを実践できるお店づくりを目指しました!1階既設店舗(大衆食堂)を全面改修。2階既設住宅については店舗改修の際に必要性が迫られる部分と老朽化や劣化の進んだ外部廻りのみを改修。厳しい予算配分でしたが放置しておくといずれ改修を余儀なくされるものばかりで、施主様のご英断をいただき実施しました。店舗改修の要点は、営業の歴史も古くそれに呼応すべく常連のお客様もとにかく多く、今までの店の雰囲気をそのまま踏襲することは難しいながらも、歴史感やいつ来店しても変わらない安心感や居心地のいい場であることを着実に築くこと、そんな自負で設計を進め、工事を進めました。店舗入口に今回新たに風除室を設け店内環境UPに努めています。風除室から店内へはオートクローズ機能をもたせた木製引戸を設置。古い民家でよく見かける腰板付のガラス入り格子戸です。杉を使い古びた感じをオスモ塗装で表現。風除室脇には杉の厚板による造付カウンターを設置、陶器の手洗器がお互いの味わい深さを補完しています。また店内すぐの場所に杉の梁材で造作加工したスクリーンを立てることで、視線を少し和らげています。客席は基本的に既存テーブルを再利用、その方がいいという常連のお客様のご意見を尊重しました。店内奥側に今回新たに造り付けた12 人掛けの大テーブルは、大勢でご来店するお客様や、一人でお見えになるお客様などに気軽に座っていただくテーブルです。これも杉を使いオスモ塗装で古びた感じを出しています。店舗中央に大きな化粧柱と化粧梁を設けました。本来の躯体がその中にあるのですが、この大柱と大梁がある意味店のシンボルかもしれません。腰板は杉の羽目板を用いオスモ塗装仕上げ。店内中央の天井はガルバリウム鋼板の小波板を張り化粧梁を数本入れ少しモダンなデザインに。本当は使い古しのさびた小波板を張りたかったのですが、そう都合のいい材料はありませんのでいつかさびていい雰囲気になればという想いです。寿食堂を語る定番メニューの一つに関東煮(かんとうだき=おでん)がありますが、屋台をイメージしたコーナーに仕上げています。カウンターには冷蔵ショーケース等を設置、食堂らしさを素朴に表現。厨房機材は今回全て新調、快適な調理ができ且つ今まで以上に美味しい料理を作り出すことが出来る場としました。テレビの背面に張ったクロスは1950 年代的なデザインを採用、昭和となるべくリンクさせる意図でセレクトです。尚、柱の掛け時計は私たちの事務所が開店祝いとして贈らせていただいたもので、これも昭和レトロにこだわりセレクトしました。皆さまに長く長く愛されるお店であってほしいと心から願っています。
基本データ
- 建設地:和歌山県御坊市塩屋町
- 構造・規模:S造(在来工法)・2階建
- 1階床面積:115.36㎡ (店舗床面積に同じ=全面改修)
- 2階床面積: 87.73㎡ (住宅床面積に同じ=一部改修)
- 延べ床面積:203.09㎡